◆サガさんのゆううつ・3◆

 

「はあ・・・サガ争奪戦か・・・」

「むっ?」

 

アイオリアの隣にいたシャカは、彼の呟きを聞き逃さなかった。

 

「デスマスク!」

「おう、何だ?シャカ」

「アイオリアが争奪戦に参加したいようだぞ」

「なっ、何を言うんだ!シャカ!!」

 

アイオリアは顔を真っ赤にさせ否定しようとするが、もう手遅れだった。

シオンが参加を瞬時に許可したのだ。

 

「うむ、アイオリアの参加を許可する!」

「アイオリア、あとで兄さんとゆっくり話し合おう(肉体言語で)」

「兄弟揃って消してやる・・・!」

 

アイオロスとカノンから攻撃的小宇宙がアイオリアに向かって発せられようとしていた。

 

「(げっ!殺される!)」

 

身の危険を感じたアイオリアは、主催者であるシオンの方へ視線で助けを求めた。

ところがシオンはニヤニヤと笑みを浮かべ、修羅場を楽しそうに見ている。

隣のサガは温泉旅行のことで頭がいっぱいなのか、遠くを見つめてうっとりしている。

しかも、サガ争奪にアイオリアが参戦するということにはあまり興味はないようだ。

 

「(今のオレって、ものすごく可哀想じゃないか!?)」

 

自分の想い人をばらされた(しかも無反応)挙句、

二人(うち一人は実の兄)から命を狙われる状態に置かれた

アイオリアは、うっすらと涙を浮かべながらデスマスクに小宇宙で呼びかけた。

 

「(おい、デスマスク!助けてくれ!)」

「(それが人にものを頼む態度か?)」

「(うっ・・・助けてください、お願いします!これでいいか!?)」

 

普段のアイオリアなら蟹ごとき(暴言)に頭を下げることはしないが、

今回は自分の命がかかっているというだけあって決断は早かった。

 

「・・・まあまあ、三人とも争奪戦で白黒つければいいじゃねーか」

「よし!」

「のぞむところだ!」

「(うっわー!数に入れられてるー!?)」

 

再度、死を予感したアイオリアであった。

 

「この際、争奪戦はアイオリア以外にも希望者があれば参加してもよいぞ!」

「なにぃぃっ!?」

「サガ総受けかーっ!?」

 

アイオリアは自分のせい(と言っても九割方シャカの発言のせい)で

争奪戦の倍率が上がったことで三度目の死を予感した・・・


 

 

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アイオリアがかなり可哀想・・・